Laundry Land

あれこれ

『DEEP BEAT YELLOW』 出演者紹介~TAMTAM・CRCK/LCKS・MISTAKES・GiGiGiraffe~

 最近読んだ中で「書く力」という本が面白かった。
編集手帳(読売新聞の一面コラム)を担当し続ける竹内正明氏と、池上彰氏が互いの文章術を探り明かしあうもので、次々登場するプロの技の中にも、文章ド素人の自分に強く残るものがあった。

読者は自分の知らない情報に惹かれる。この場合の、『知らない情報』を専門的な知識と錯覚する人も多いが、素人がヘタに格好つけて曖昧な知識を並べたところで専門家には勝てない。じゃあ何を書けば楽しんでもらえるのか?最も手軽に書ける読者の知らない情報とはすなわち、筆者の『すごく身近な話題』だ。

 

 TAMTAMのクロさんが、CINRAのインタビューで歌詞について話しているのを見たとき、この技を思い出した。

前はいい詩とか小説とかをお手本にしちゃっていたというか、『正しさを求める』みたいな感じがあったんですけど、拙くても自分のボキャブラリーで作るようになった(『NEWPOWSY』リリースインタビュー)

このアルバムにリラックスした雰囲気を感じるのは、そんな言葉に惹かれたからかもしれない。

 

【TAMTAM】
クロ(vo,trunpet,synthesizer)、高橋アフィ(dr)、ユースケ(gt)、ともみん(key)、溝渕匠良(support)(ba)
2008年結成。現体制では2016年にP-VINE RECORDSより『NEWPOESY』をリリース
 
 バンドの新たなスタートとなった『NEWPOESY』は、自信のスタイルとしてのダブ/レゲエを残しつつ、ソウル/R&B的なグルーヴの印象を持つ名盤だ。ライブではこのアルバム以前の曲は演奏しないので、この一枚が今のTAMTAMのスタイルを現わしている。

youtu.be


 初めてTAMTAMのライブを見た際の印象は“CANADA”だった。サビを歌い終わったメインボーカルがシンセの下からトランペット引っ張り出したときは驚いた。そのまま吹き始めるクロさんはかっこよかった。
帰ってアルバムを聴いたとき、どの曲も全部の音がぴったりはまっているように聴こえた。基本のリズムが繰り返されているし、女性ボーカルで聴きやすい。とにかくまとまりがいいと思った。

だけど、聴けば聴くほど、観れば観るほど、面白いのだ、このアルバム。音数が少ないからまとまって聴こえる曲も実は手数が多かったり、気持ちいいところがどんどん増えていく。
ピタリとはまった音も、打ち込みに頼らない生バンドで演奏する面白さを踏まえたもので、音の歪み、余白など、サウンドに対する理想を高く持って仕上げた曲は、ライブ演奏時も生のグルーヴがとても気持ちいい。

 また、ボーカルのクロさんの声が魅力的だ。
ベタッとした感じが、歌詞を歌うということよりもサウンドの一部として機能しているように聴こえて耳障りがいいし、その歌詞も「頭が冴えて 眠れないよ どうしよう」(『コーヒーピープル』)、「風邪をひきました ずいぶん長い間 熱を帯びているんだ」(『カルテ』)と、冒頭から身の回りの出来事を淡々と、飾らずに伝える。

youtu.be

太いビートの上に、リラックスした歌、このバランスがたまらない。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

唐突でした、すみません。
大学に入学して一年になります。

都内ライブハウスで音楽イベントを企画、運営するサークルROCK STEADY WASEDAというサークルに所属しました。
浪人しているときから「大学生になったら個人企画を打ちたい」と思っていた自分は、このサークルの枠を借りて、来る4月に『DEEP BEAT YELLOW』というイベントを打つことになりました。

年末に立ち上げたこの企画がついに当日を迎えます。


2017.4.6 Thu
ROCK STEADY WASEDA presents 『DEEP BEAT YELLOW』
at 下北沢 BASEMENT BAR
【BAND】
CRCK/LCKS 
Gi Gi Giraffe
TAMTAM
MISTAKES
【DJ】
星原喜一郎
op/st 18:30/19:00
adv/door ¨0/À0 (+1d)
※学割:大学新一年生以下(高校生含む)@0(+1d)

 

f:id:ray887:20170329145441j:plain

今日は『DEEP BEAT YELLOW』出演バンドを紹介します。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【CRCK/LCKS(クラックラックス)】
小田朋美(vo,key)石若駿(dr)小西遼(sax,etc)井上銘(gt)越智俊介(ba)
※立ち上げからのメンバー角田隆太(ba)は今年3月で脱退。

 ドリームチームといえば分かりやすい。
2015年、それぞれリーダーとしての個人活動に力を入れてきたプレイヤーが、菊池成孔氏のイベントのためにバンドを組んだことが結成につながった。
普段ジャズのフィールドで活動をするメンバーが多い。プレイヤー個人が評価されるフィールドで活躍する面々が、メンバーを固定してバンドを組み、ジャズに聴こえないポップス、歌モノとも言える音楽をしている。ジャズ以外の引き出しから持ち寄った複雑で繊細な楽曲を、高いスキルで、聴きやすく馴染みのあるものに仕上げている。

と、長ったらしく書いても仕方ない。
初めて「Goodbye Girl」を聴いたときは衝撃だった。
ジャンルやシーンで括られてから提供される音楽が目立つ時代かもしれない。そんな中、この曲は明らかに違った。

youtu.be


気持ちいいリズムのイントロから、転調に次ぐ転調、音のうねり、サックスやヴォコーダーの音、次々飛び込んでくる。
歌詞やメロディーに「あ、ポップだ!知ってる音楽だ!」と時々気付かされながらも、曲はどんどん進む。
PVの中でハラサオリさんが一枚脱いだあたりからのサックス、ギターのソロ。ドラムも激しくなり、「どんなバンドだよ」と思わされながら駆け抜けていく。曲後半、今ここは曲のどこにあたるのか考えるうちに、演奏は止み、小田さんの囁くような声が聴こえてくる。
ここまで来たら最後のサビに向かうんだな、と流れは予想できるのに、そこからも音のうねりと迫力に圧され、最後ピアノのメロディーが繰り返されるところになって、やっと我に返る。
聴き終えて、自分がどこから出てきたのか分からない感覚になる。
「街がある 光があるのに どうしちゃったんだ Goodbye Girl」
残された切なさの匂いに、クラクラする

youtu.be

ライブは本当にすごい。そのパワー、クオリティ、スキル、即興性、笑ってしまうほどに爆発している。(過去のライブ告知動画より)


【MISTAKES】
Shinji miyauchi(vo,key)、佐藤栄太郎(dr)、井上まさや(ba)、ミウラマユ(cho,syn),coffee(key)
※ミウラマユ、cofeeは4/6のライブをもって脱退。

”We are R&B band from japan.”
とプロフィールにある通り、彼らの音楽は、黒い。

YOUR ROMANCEのボーカルを務めるShinji、去年よりindigo la Endに加入した佐藤栄太郎など、個々のスキルが高いメンバーが2015年周辺に結成したバンド。公開されている情報は少ないが、都会的にも聴こえるサウンドは、Arctic Monkeysの“505”をリズムを強調したR&B風にカヴァーするなど、実験的とも完璧とも思える。
ライブパフォーマンスもアツい。でかいボーカルの横で歪んだベースが響き、ドラムも加わって黒いグルーヴが強調される。特徴的なメロディーから始まる“nightmare”の裏でのリズム隊は、セクシーかつ変態的で気持ちいい。

youtu.be


現体制ラストの4/6以降のライブも決まっているが、今後のリリースや活動の頻度を含め、MISTAKESとしての活動詳細は分からない。今、観ておくべきと強く思う。

 

 

【GiGiGiraffe】
山本(vo,gt)、上村(dr)、奥泉(ba)
※ライブ時はパーカッションとアコギがサポートに加わる。

自分が初めて聴いた、過去作「HOME MADE WORKS」は何重にも重ねたギター、歪んだボーカルなど、単純に聞いていて面白いアルバムだった。
FUJI ROCK FESTIVAL’16 “ROOKIE A GO-GO”に出演し、去年は初の全国流通版となる『GiGiGiraffe』をリリース。最近よく名前を見る人も多いのではないだろうか。

フロントマン山本氏の宅録ソロプロジェクトから始まったこのバンドは、青山のビートルズ訳詞研究会で結成したそうだが、今年発売したセルフタイトルアルバムも含め、アメリカのインディー・ロックの匂い、と表現していいだろうか。ロックなのだが、ブルージーだったりサイケっぽかったり、アコースティックなものもあり、ジャンルを意識させない面白さがある。

youtu.be


特徴的なのがボーカルだ。
全編通じて声を重ねて加工して歌う、喋る。韻を踏むところもある。


ライブでも声にディストーションをかけて響かせている。そして強調したいのが、全編英詞なのだが、その滑らかな発音と、気だるそうな歌い方がいい。「英語ですよッ」とばかりに歌う日本人のそれとはモノが違う。

現在ライブでは自由に作った音源を、サポートメンバー2名を加えた5人で演奏している。
楽しい、面白い、そんな音源を演奏するステージはロックだ。
フロントマンの山本氏の印象的なギターリフ、歪んだボーカルはそのままに、パーカッションがボンゴやタンバリンをたたきならす。曲に入るまでに長めのセッションのような時間があったり、ライブの“生感”をメンバーも楽しんでいる印象を毎回受ける。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 さて、如何だったでしょうか。

一年坊主の企画に出てくれるなんて信じがたい豪華なメンツです。

早稲田のサークルという後ろ盾あってのものですが、それでもほぼ個人企画です。自分のやりたいようにやった分、当日が迫ってきて浮足立ってます。

「ジャンルの枠を超えた音楽、人、それぞれの見え方が一番魅力的」というコンセプトをもって『DEEP BEAT YELLOW』は始まったので、当日はフロアの一人一人が自分の楽しみ方を見つけてくれればいいなと思います。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 

 

 最後に言い訳を一つ。

今回出演してもらうバンドの音楽の魅力を文字で伝えるのはそもそも無理な話で、いいものをいいと伝えるのが一番難しいのではないかと思います。

本を一冊を読んだところで「書く力」なんて身に付きませんね。


ただ、この拙い文章を最後まで読んでくれたあなたもあなたですが、書いた自分も書いた自分。大切な、熱のこもった企画です。

来てくれた人の『すごく身近な話題』にするにはうってつけのイベント。

もし、聴いて気に入ったら、来てください。

 

一回の乾杯と、生の演奏に勝る言葉など存在しない。

この一年で得た答えはこれかもしれない。