Laundry Land

いよいよ就活生。

0.8秒と衝撃。「黒猫のコーラ」

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あなたにとってのロックスターっています?

ヒロトとか峯田とか、もうど直球、間違いない、なんとなくしか知らないけど超強い、みたいな存在はもちろんですけど、
下北沢の小さなライブハウスで愛を歌ってるヤリチンバンドマンも誰かのロックスターなのかもしれないじゃないですか。童貞だって嘘をついてゴメンナサイしたあいつも、ベッキーに手を出してゴメンナサイしたあいつも、誰かのロックスターかもしれないじゃないですか。桜井だってマサムネだって等しく誰かのロックスター。長瀬だってすばるだってきっと誰かの、、、、マジ?

 

まあ別に各々のロックスターに戦闘力をもたせて戦わせたいわけではもちろんないです、こんな風に。

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スターって存在は音楽に対する評価とはまた変わってきますよね。この人が好きだからこの人の音楽が好き。そうさせてしまえるのはステージで照明を浴びているあの人の魅力がなせたことで、スター性って大事だと思うんです。
憧れの存在を持つだけで、一種の信仰心に近い支えを持つだけで、人は生きていける気がする。そんな存在に会えたことは素晴らしいことです。是非下北沢ヴィレバンにあるKEYTALKプリ機で写真を撮ってきてください。


さて、自分の場合。
近年好きなバンドや音楽はたくさんできましたけど、その人の思想とか哲学とかをなんとか理解したい!みたいな感情を一人のミュージシャンに持つことはそうそうないです。というか、何かに傾倒する思想そのものが年をとるとなくなっていくというか、この先もそんな衝撃ってなかなか来ないんじゃないかなと思います。音楽は宗教で衝撃を受けるものではあり続けるけど。それを衝撃として客観視してしまうというか、衝撃を直で衝撃として衝撃をうけることって(略)そう、衝撃。


0.8秒と衝撃。というバンドの話をします。
(N/K「鏡で、己の考えを、鑑みる、そう漢a.k.aGAMI、、、」より。)


名前を知ってる人も多いんじゃないでしょうか。
サカナクション、アルカラ、MWAM、ゲスの極み乙女、カナブン、クリープ、空想委員会、グッドモーニングアメリカ、indigo・・・・
なんかそういうのをザッとひっくるめて雑に「邦ロック」と一括りにしていた少し昔があるでしょう。
自分で言うと、「mixiで繋がった邦ロック好きなフォロワーさん達と東京カランコロンのライブに参戦していた頃」ですかね。忘れてください。


そんな時に話題になってたバンド。

つい最近活動休止したんです。知ってましたか?

 


0.8秒と衝撃。(通称ハチゲキ)は、「高校生の頃に聴いていた音楽」の引き出しに入っていました。
パンチ力とビビットな色合いに惹かれてライブにも行く、ありがちなファンでしたが、当時の自分はとにかくこのバンドに傾倒していました。

雪の降る渋谷、灼熱だったクアトロ。
文化祭二日目、冷えピタ貼って厚着してこっそり抜け出して、騒いで汗かいたら風邪が治ってたブリッツ。

ロフトも2回くらい行った。

振り返るとそんな数は行ってないですが、それでも高校生が行く割合としては多くて、余韻もパンチも、ライブ後に引きずる耳鳴りも強かった。ライブハウスの楽しさを強烈に教えてくれた。

 

 

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ハチゲキは塔山忠臣のバンドだ。

大阪から上京してきたある青年が、セックス・ピストルズを聴いて衝撃を受けた。初めて音楽というものを知り、今まで全く縁のなかったその熱いものにのめり込み、バイトに追われながら宅録という形で自分でも作るようになった。
音楽家の時の自分の名前は、交通事故で亡くなった友達の名前をそのまま貰い、2人目の塔山忠臣が生まれた。

多分、確か、こんな感じ。スタートが歪な気がする。知らなかったぶん、ジャンル、歴史の隔てなくその時の自分の気に入ったものに影響を受け自分の作品を作ってきたのだと思う。

アルバム、EPは8枚リリースしているけど、パンク、エレクトリック、フォーク、テクノ、、いつも実験的な匂いがする曲群だった。

新宿タワレコのある店員が恐ろしくこのバンドが好きで、(後にバンドのスタッフをやっていたと思う。)リリースがある度に衣装の展示だったりトークイベントをやってくれたりしていたのだが、自分はタワレコホームページでのインタビューを読むのが楽しみだった。
この作品のコンセプトは、この曲は、このアルバム、この曲に影響された、ニュアンスを盗んだ、など。たくさん実例を挙げてくれていたあれは、自分にとって一種の資料集だった。
MGMT、ジェームズイハ、スマパンジザメリ、ボウイとかは彼に教わった。

tower.jp


かっこいい楽曲を作ることだけを重視して始めて、ライブをするためにメンバーを集めて、パフォーマンスをこだわるようにまでなった。
(ART SCHOOLのライブを見に行った時、曲と曲の間の時間、メンバーが足元でカチカチやってるだけの音が聞こえる空間をすげえいいなと思った。と話していたのを覚えてる。)

ジャンル、スタイルにとらわれていないあのバンドが好きだった。売れてる売れてないとか関係なかった。

もう1つ、J.M.の作るジャケ写、グッズなど、目に見えるハチゲキの世界観は派手でエグくて、好きだった。今となっては多少イタいかもしれないけど、オリジナリティーがあった。
(だから、ジャスミンのPVの監督が加藤マニだった時、いなりのジャケ写がフクザワだった時は、少し凹んだ。あれは多分売れたかった時期だったのかな、と今は思うんだけどどうだったんだろう。)

 

 

でも、今までのこの気持ちは自分の中で知らないうちに過去になっていた。

ライブといえばハチゲキだったけど、いつからか随分遊びに行かなくなっていたし、バンド自体、ライブもリリースもツイッター投稿も減っていた。
そして数ヶ月前、活動休止が発表された。遂にか、でも俺もライブ行ってなかったしな、、という気持ちと一緒に強烈に思い出した。
後に説明されたのは、塔山さんの持病の耳鳴りが悪化して回復する見込みのないことが直接的な原因ということ。

11/1のラストライブには行けなかった。大きな後悔が残った。

 

 

 


あの人は最後まで塔山忠臣をやりきったんだなあ。ありがとう。

 

音楽を愛し、くだらない世界と人を何よりも嫌っていた、と思う。話したこともないから分からない。ただ手元に彼の作った音楽だけがたくさん残った。まだ全然聴ける。

下らないものにはひたすらに尖っていて、リスペクトするものには最大の愛を持っていたんじゃないかな。爆音なのに人懐っこい音楽だった。そうであってほしい、というのは随分迷惑な話かもしれないけど。


この投稿を書きながらハチゲキの曲を聴いてみた。まだ全然聴けた。黒猫のコーラは、自分にとって永遠のクラシックかもしれない。


塔山忠臣は二度死ぬのか。
俺の一番最初のロックスター。

  

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とか思ってたらこれだよ。
なんだよ。耳鳴りわい。
自分の中のスターを引き摺り下ろしたいわけじゃないけど、これからあいつがどんな音楽をやるのか、ちゃんと今の自分で聴きに行こうと思います。