Laundry Land

いよいよ就活生。

斯々然々(10/15〜10/31)

取捨選択、四捨五入を繰り返しすだけの充実感。モヤモヤの粒々に沸々と向き合う達成感。吉か凶かは賽の目次第でも、君が今日何を考えるかは足止めしない。とりあえず、学生なんて暇な商売だし、智に働けば、情に棹させば、意地を通せば、とかくに人の世はなんとやら。

考えないといけないことが1000個もある!こんなのもう嫌だ!机から銃を引っ張り出してこめかみに当てたところでザッカーバーグは思い立った。悩みを紙に書き出してみると、どうやっても70個しか出てこなかった。70個が頭の中を15周ぐるぐるしていると1000個に感じるわけで、そのストレスは自分に向けた引鉄をも引かせてしまう。実際は70個なのに。

決断を繰り返すことも、考え続けることも、それ自体が美徳とは思えない。どういうスタンスが自分に合っているかも考えないで、本当は必要なことを切り捨ててしまったり、同じところで止まったままだったりするのは、もったいない。ノイローゼの猿、即ち人類。僕らのこと。

 

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現代において必要不可欠な娯楽は何かと聞かれたらなんと答えますか。

「娯楽なんていくらでもあるんだから、落語なんてなくていい商売なんだ。それを、悟られるんじゃねえぞ」先代三遊亭圓楽のこの言葉。"悟られるな" というところがミソだ。娯楽は理屈だけでどうにかできないものがあっる。そしてそれを出す人には騙せるだけの技術がある。

娯楽なんて本来いらないんだ。なんて言う、悟り世代?ふざけろ。もっと頭を使わなきゃいけないし、使っている。芸人には技術、客は目を肥やさなきゃいけない。パン屋は美味しいパンを焼かなきゃいけない。

「視聴者には分からない、というのは視聴者を馬鹿にしているよね。分からないけど面白い。分からないから興味を持つ」タモリもずっと同じことを言っている。

テレビ塔が"娯楽の英知を結集した存在"だなんて今更誰も思ってない。一つずつの"瞬間"に照準を合わせたものが多すぎる。番組、広告、ニュース。おおきな流れを意識しなければ住みやすい。でも、テレ朝が視聴率であの日テレを上回った。誰がテレビを見ていたのか、一発でわかる。


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藤田貴大『おんなのこはもりのなか』このなかの『20代の「いつか」について』という一編が心に溜まった。本当に良かったし長いから、ここには載せられない。

(メインは「うでの毛をさわさわしたい」「充血した目に点眼したい」「口内炎を舌で確かめたい」「なんで性交はしたいのに、鼻水は吸えないの?」といったド変態エッセイ。「ぼくがじっくりあたためて作ったスープが、役者さん、いや、女優さん、いや、女子のからだのなかに流しこまれる」なんて。すごいんだ、このピュアさ)

おんなのこはもりのなか

おんなのこはもりのなか

 

20代である僕らが思う「いつか」っていうのはいつなんだろう。どれくらいのペースで歩いて然るべきなんだろう。

"いつか歩いたこの道が、いつか懐かしくなるだろう" という斉藤和義の唄もそうだけど.「いつか」は誰にでもあるだろうし、誰も持ち合わせていないもので、秒速五センチメートルなんかを見るとそんなことがチラチラする。「いつか」を見据えるだけじゃ、その「いつか」は来ないし。今も過去から見たら「いつか」だし。それを顧みようとしないのは、いつだって今が「いつか」に繋がると思い込んでいるからで、それは別に「いつか」に対して前向きなんかじゃない。

何に腹が立つかで、だいたいの器の大きさは測れるとも思えませんか。「いつか」というハードルをある程度設定しておかないと、一度立ち止まってしまった時に余計なものにまで意味を考えてしまうと改めて思う。池袋の公園のベンチにこんなことを書き捨てた人は、どんな「いつか」が見えているのかしら。

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俺もイライラすると、なぜ道路のアスファルトはこんなにも黒いのかにも腹がたって、スガシカオもピコ太郎に見えてくる。

真夜中の虹。雨が降ると広場の銅像は涙を流す。ずっと同じポーズで、ずっと同じ道を見下ろして。部屋を出ても電波は人を追いかけるけど、彼を見下ろす時計の針はしばらく前から自分の時間軸を採用したらしい。黒いアスファルトが少し柔らかくなる時間に缶チューハイを飲みながら歩く。「いつか」への最適な速度。お前が7時25分だって言うならきっとそうなんだ。そんなもんだ。真夜中の2時。

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白い部屋。面接会場に18人。囲まれた気持ち悪さがとても気持ち悪かった。

興味、関心、尊敬、愛情なんかが循環するサラサラした液体に少しずつ沈殿していくのは尊厳、軽蔑、屈辱、卑下なんかで。沈殿したそいつらをコンクリートと混ぜて固めたビルは大きく、屋上にヘリポートまである。

たった1時間の付き合いの18人がもうすでに俺は嫌いになっていて、この人たちとあとどれくらいの時間を過ごすかだけを想像する。その日の朝に引っ張り出してきた腕時計の針が止まっていたから。大丈夫、なんの問題もない。時計の針が進まない俺があの部屋にいる誰よりも自由だった。酒が飲みたかった。真っ黒いアスファルトよりも硬い絨毯を歩いて、適当に喋って帰った。


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ノートカバーを新調した。2冊収納できる。これで引鉄を引かなくて済むかもしれない。

・自己中でいることが自己治癒なら、ニコ中もニコ治癒だし、まさかも真っ逆さま。

・ピースの箱にピースは10本しか入らないから、11本目のピースには入るべき箱がない。でも人間はピースではない。

・「喋ってる途中から自己嫌悪に陥らないようにして頂いて。そんなタケシさんの熱い気持ちがあったせいか東京で桜が開花しまして。」さすが安住紳一郎ビートたけし独立報道後初めての情報7days、生放送冒頭から仕掛けてくるたけしをかわし続けて収めた安住アナに感動する。

・桜の蕾は完全に開ききり、とんねるずの30年は幕を下ろした。官邸前に人が集まり、ふともも写真展は中止された。

・ダイアンの職務質問ネタの「DVD借りたの?準新作で?」「関係ないやろ」「いや、純晋作。俺の名前やねん」このくだりは、いとしこいしの「君名前は?」「今言うぞ」「早く言いたまえ」「いや、今井雄三」という職務質問ネタと同じだな。


こんなことを書き殴るためにわざわざノートを2冊も持ち歩いているのか俺は。

でも、阿佐ヶ谷に出かけたあの日から、頭がずっとぐるぐるしている。何か出てこないか。何かないか。何かあった気がする。全録、オンデマンド、はち切れるまで。スカスカな自分が怖くて、逆に1000個になってくれとさえ思う。沸々とするものを、放課後のサイダーに溶かして飲んだり、始発の朝焼けに蒸発させたりしない。そんな音楽を聴けなくなった。全部逃さん。全てパロディなのかなんて、作ってから考える。

いや待て。頭に書いたことと全く逆だ。 

取捨選択、四捨五入を繰り返しすだけの充実感。モヤモヤの粒々に沸々と向き合う達成感。吉か凶かは賽の目次第でも、君が今日何を考えるかは足止めしない。とりあえず、学生なんて暇な商売だし、智に働けば、情に棹させば、意地を通せば、とかくに人の世はなんとやら。ノイローゼの猿。

でももう、「SNSで読み書き覚えたゾンビどもの島から自家用ジェットであなたを救出しに参りました」そう言って縄ばしごを降ろしてくれた会員制の遊覧船も、今年いっぱいで土曜深夜の特等席を手放して着陸する。

畜生。ヘリポートになんの意味がある。

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メモ

考具 ―考えるための道具、持っていますか?

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表現の技術 (中公文庫)

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