Laundry Land

いよいよ就活生。

南無三

朝からソワソワしながら喫茶店へ。下の本屋に目当ての漫画がなかったせいでソワソワしながらコーヒーを飲むだけの時間が過ぎて、結局がっかりした。


高校生の時。実行委員会の役職メンバーに入るために同期の役員たちから面接のようなものを受けた。結構ストイックな自主性を持っていたせいで真夜中の公園で面接は行われて、いつもの友達に真剣に審査される変な緊張感があった。面接後の役員たちによる会議は夜通し行われて、結果待ちの間、学校の近くのコンビニ、公園、隣駅のロータリーと移動しながら朝までの長さを感じた記憶がある。翌朝、お互いにぐったりしながら教室で顔を合わせてから合格したとか云々を伝えられたとき、最初に思い出したことがある。

面接を受けた同輩は他にもいて、その中の一人と夜中の公園で顔を合わせた。お互いに変な緊張感と使命感を持っていたせいで連絡はしていなかったから偶然だったと思う。開口一番、そいつは失敗したと言った。こんなことを言ったけど、もっとこんなことを言った方が良かったかもしれない、みたいなことをそいつは続けたが、俺はもうこいつは絶対受からないと分かった。役員という責任感の塊で勝負をしようとしてる同輩の持っている概念と、それに合わせに行こうとしたそいつなりの理論は根本がずれていた。土台の違う思想にどれだけ言葉を積み上げても、方向のずれがどんどん明らかになるだけなんだなあ、とその残酷さに初めて気づいた夜だったと思う。そいつは役員には選ばれなかった。

あの日以来の面接を日々受けている。

蚊に食われる公園や、忌野清志郎が流れ続けるコンビニ、人がいなくならない恵比寿駅でただ待つしかなかったあれに比べると、家でくつろいで朝になったらスマホに結果が届くこっちの方が余程楽だ。でも、気の知れた友達が欲しがってる答えを当てるよりも当然、難しい。俺を落とすのは間違いだと言い切れないのも恥ずかしい。

面接が終わった瞬間にソワソワして、あれをこう言えば良かった、と思う奴は大抵ダメだと改めて思った。上手くいけば、相手が求めるベストアンサーに寄せることはできるかもしれないけど、そもそもがずれている可能性の方が高い。まあまあ進んだ選考が没になって、あの日の真っ暗な公園を思い出す。

 

結局、俺が委員会に入った祭りはこっち側が生んだゴタゴタのせいで中止になって、その件を大人気ない見当違いでまとめたご苦労さんな週刊誌の会社の面接が控えている。

母校で火事が起こったらしい。後輩なりの使命感が生んだ歪みみたいなものだと思う。

また載るのだろうか。

また一次面接からかよ。

ダルちゃん: 1 (1) (コミックス単行本)

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