Laundry Land

いよいよ就活生。

クリスマスの端っこ

ジャズ、ポップス、ロック、全てのクリスマスソングを聴いた気がする。安いオルゴール調の名曲も安いコーヒーを飲みながら聴いた。今年は街の空気や幸せそうなカップルよりもまず、店のBGMからクリスマスを感じた。感じた、というよりはもう、これでもかと押し付けられる強制クリスマスムード。そしてようやく日付が26日に変わった瞬間、流れていたのはイマジンだった。
想像してごらん?何を?

イマジンから遡ると、25日の最後はWonderful Christmastimeだったわけで、ポールからジョンにたすきは繋がれたらしい。特別な日を祝福する名曲達を延々選曲していたマスターも急に肩の力が抜けたのか、三曲続けてジョンだった。
日付が変わって、前に座った人がテーブルに置かれたロウソクの火を吹き消した。色ガラスのクリスマスツリーがくっついた可愛いロウソク立てだった。細い煙を追って上を見るとスピーカーがあって、やっぱりイマジンが流れていた。厳密に、ゆっくりただぼんやりとクリスマスが終わる瞬間を待っていたのは初めてだった。光源を失ったクリスマスツリーをマスターが回収して行く。
想像してごらんって、だから何を?

店を出てから池袋の帰り道、ガラス張りのネオンの部屋で、足とへそを出したサンタ達が残業しているのが見えた。鼻をズビズビさせるしかない外から見たその店はとても暖かそうに見えたし、同時にとても気色悪かった。彼女達の差し出す酒をうまそうに飲む男達は、それぞれの家庭でサンタとして振る舞うのにはうんざりなのだろうか。2000円飲み放題のカウンターで女サンタを眺める彼らの目が紫色に見えた。
想像してったってさ、何を?

クリスマスから大晦日までの数日が、この国の和洋折衷の狂ったバランスが1番よくわかる。街はまだイルミネーションで照らされて、デパ地下ではおせちが売ってる。テレビは年賀状のCMだし、これを書きながら安いコーヒーを飲んでいるけど、聴こえてくるのはまだオルゴールのクリスマスソングだ。

あのガールズバーはいつまでサンタコスを続けるんだろうな、なんて想像するしかないじゃない。

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